Optimus 8R - 燃料漏れ修理

久しぶりに、Optimus 8Rに火を入れてみました。

点火のお作法をした後、ゴーゴーという轟音を奏でながら無事に点火できてホッとした矢先、火力調整用スピンドル部分から炎が上がり、慌てました・・・

 

目次

 

1. 今回のメンテナンス対象

メーカ:Optimus
型式 :8R 

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この8Rは、米州赴任時代にとあるアンティークショーで見つけたものです。(今から10年は前のこと)
当時、Optimusという名前すら知らず、この箱はなんだろう?と思いながら、そのブースの人から説明を受けて、面白そうと思い購入した品物でした。

2. 症状

燃焼中に、火力調整用のスピンドル部分から炎が上がりました。
初めての経験でしたので、びっくりしましたが、冷静に締める側に回すことで消火することは出来ました。

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3. 原因と対策

燃料が漏れたということは、パッキンに何らかの問題が生じたためと考えられるため、パッキン交換をすることにしました。

4. 準備するもの ー 交換部品 

グラファイトパッキン
 ・型式  :2094
 ・数量  :1個
 ・購入方法:サービスパーツを取り扱うネットショップ、ヤフオク、メルカリ、ebayで購入できます。
 

5. 必要な工具

①レンチ10㎜
②モンキレンチ(小)
③精密ドライバ(-)・・・治具として使用

特に特殊な工具は必要ありません。
 

6. 作業手順

①事前準備
燃料タンクから燃料(ガソリン)を抜く。

②箱カバーからバーナー本体を取り外す
右下の写真にある箱カバーの燃料タンクに引っ掛けてある部分を手で広げて下さい。

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そうすることで、箱カバーから燃料タンクを外すことができます。

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③タンクカバーの取り外し
前項②と同じ様に、タンクカバーを手で広げる様にすることでタンクカバーを外すことが出来ます。

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④バーナーヘッドの取り外し
手でクルクルと左に回すことで取り外すことが出来ます。

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⑤余熱皿の取り外し
こちらも④と同様、手でクルクルと左に回すことで取り外すことが出来ます。

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⑥スタフィンボックスの取り外し
レンチ10㎜をスタッフィンボックス、モンキレンチをバーナー本体に掛けスタフィングボックスを左に回すことで外すことが出来ます。

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ニップルの取り外し
モンキレンチを掛けて、左に回すことで外すことが出来ます。

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⑧クリーニングニードル、スピンドルの取り外し
スピンドルを左に回すと、⑦ニップルを外して見えていたクリーニングニードルが出て来ます。
更にスピンドルを回し、引っ張ることで、バーナー本体から外せます。

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  写真の通り、グランドパッキンはボロボロになっていました。

グランドパッキンの予備部品を持ち合わせていないため、本日の作業はこれでおしまい。
Optimusパーツの取り扱いがある、Old and Tools のHPから購入手配をしました。(ヤフオクにも出品されている)

m-yasumura.hatenablog.com


後日無事に届きました。
下の写真の様に梱包されており、輸送中の変形の心配もありません。

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新旧を比較すると、一目瞭然ですね。

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以後から、復旧作業を再開します。


⑨バーナー本体の掃除
取り外したグラファイトパッキンの残りがバーナー本体に残っている可能性があります。
精密ドライバーなどを用いて内側をコリコリと突くことでカスを取り除くことが出来ます。
作業後は、裏返して中のカスを外に出す様にして下さい。

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以後、組み立て作業に入ります。

スピンドル、メタルリングの取り付け
スピンドルをバーナー本体に取り付けます。途中からネジになっていますので、右に回して、突き当たる位置に取り付けます。

次に、メタルリングをスピンドル軸に沿わせるようにバーナー本体の中に入れて行きます。
メタルリングは途中で引っかかって止まってしまいますので、精密ドライバーなどの先の細い工具でメタルリングを押して下さい。
少しづつ押し込むことで一番奥の突き当てることが出来ます。

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グラファイトパッキンの取り付け
まずスピンドルに新品のグラファイトパッキンを取り付け、グイグイとバーナー本体の内側に押し入れて行きます。
ある程度挿入されたら、スタッフィングボックスを取り付けて、更に押し付けながらグラファイトパッキンを押し込みます。

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スタッフィングボックスのネジがバーナー本体に掛かったら、スパナで1回転程度、ねじ込みます。

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⑫クリーニングニードルの取り付け
クリーニングニードルをバーナー本体に入れ、スピンドルを左側にゆっくりと回します。
クリーニングニードルのギア歯面とスピンドル歯面の位置関係になりますが、両方の歯面がうまく噛み合った位置を合わせる必要があります。
スピンドルを締め切った位置におけるクリーニングニードルの高さ(奥まり)を調整して下さい。(飛び出しすぎず、奥まりすぎず)

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このバーナーの場合は、ゆっくり回した際に1つカタっとクリーニングニードルが下がった位置がちょうどでした。

⑬ニードルの取り付け
まず手で仮付けします。
次にスピンドルを左にゆっくりと回し、クリーンニードルの先端をニードルの穴から出します。
問題なく出ることを確認した後、レンチで本締めします。

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グラファイトパッキンの本締め
スピンドルを左右に回して動き(キツさ)を確認しながらスタッフィングボルトを締めて行きます。
締めすぎてしまうとスピンドルが回らなくなってしまうため慎重に。

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⑮バーナーヘッド、余熱皿の取り付け
両方共に手で締め付ける程度で大丈夫です。

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⑯タンクカバーの取り付け
タンクカバーを左右に広げることで燃料タンクに取り付けが出来ます。

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⑰箱カバーの取り付け
最後の組みつけです。
前項⑯と同様に、箱カバーを左右に広げるようにして燃料タンクを取り付けます。

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これで作業完了です。

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7. 修理後の確認作業

燃料を入れ、余熱をして点火しました。
漏れもなく、スピンドルから炎が上がることもなく無事に修理することが出来ました。

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 定期的に使用することと、メンテナンンスは大切ですね。

 ちなみに、分解した際、ピカールで真鍮の燃料タンクを磨きました。
 写真では分かりにくいですが、ピカピカになりました。